秋田の基礎知識

だんぶり長者伝説

だんぶりちょうじゃでんせつ

①比内(大館市)の独鈷(とっこ)に住む娘が、両親が亡くなって途方に暮れていると、夢でお告げをうけた。 お告げの通り小豆沢(鹿角市)にたどりつくと働き者の若者に出会い夫婦になった。 2人はよく働いたが貧乏で神に供える酒も買えずに困っていた。 すると夢に大日神が現れ、そのお告げに従って、新たな土地で田畑を開いた。 ある日、畑作業の合間に男が寝ていると、だんぶり(トンボ)が飛んできて唇に尻尾を何度もつけた。 目を覚ました男は夢で酒を飲んだような気がしたので、だんぶりの後を追って行くと、酒が湧き出る泉を見つけた。 夫婦はその酒で国1番の長者となった。長者の大きな屋敷からは米のとぎ汁が流れ出し、川に流れ込んで水が白くなったので、人々はその川を米白(代)川と呼ぶようになった。

②夫婦にはなかなか子どもができなかったので、大日神に祈願をすると女の子を授かった。 長者夫婦が娘を連れて都に上ると、天子の目に留まって宮中に仕えることになった。 娘は吉祥姫と名を変え、天子の后になった。長者夫婦はやがて亡くなり、酒の泉も枯れてしまった。 吉祥姫は悲しんで故郷に大日堂を建てることを願い出て許された。 そこで今の小豆沢にある大日堂は継体天皇17(523)年に建立されたものだと伝える。 また吉祥姫が亡くなった時、願いによって故郷に葬られ、大日堂近くにイチョウが植えられ、吉祥院という寺が建立されたともされる。