秋田の基礎知識

板碑

いたび

板碑

板状あるいは大きな自然石の上部に菩薩を表す種子(種字)や仏の姿などを彫り、下の方に製作年や造立の目的や願文などを刻んだ鎌倉から室町期の石塔のこと。県内では351基(昭和55<1980>年現在)確認されており、その最古のものは鹿角市八幡平長平の鎌倉末期にあたる正安元(1299)年である。雄勝、平鹿、八郎潟周辺に多く分布し、大館、北秋田、山本、秋田は少ないか皆無である。石材はほとんど所在地周辺で産出されるものを使用している。また年号の中には南朝政権が使っていた年号が刻まれている板碑もある(鹿角地方)。このことから南朝年号と北朝年号のそれぞれの板碑の分布を明らかにすることで秋田地方での両朝の勢力範囲を知ることができる。

(写真は旧若美町永源寺板碑 高1.5m 幅60cm 康永3(1345)年・北朝年号)